自然環境による防災「グリーンインフラ(GI)」について

東京新聞ウェブサイトの社説の『防災の新概念 緑のインフラに期待大』という記事で「グリーンインフラ(GI)」という考え方が紹介されていました。

従来の防災は、コンクリートなど人工物による「グレーインフラ」一辺倒でした。それに対し、公園の芝生や大通りの街路樹、海岸沿いの松林や砂丘、山間部の森林、といった自然環境が防災・減災の役割も果たせる、という考え方、「グリーンインフラ(GI)」に国の対策も舵を切り出した、と。

記事では次のような例が挙げられています。

「昨年の台風19号で、栃木や群馬県などにまたがる渡良瀬遊水地は東京ドーム百三十個分(一億六千万立方メートル)の雨水を貯水し、下流の被害を軽減したとされる。名古屋都市センターの報告によれば、芝生は一平方メートルあたり二十リットルの貯水能力を備え、ビルの屋上緑化や校庭の芝生化も減災効果がある。森林は土石流、砂丘や海岸林は津波や高潮の威力を低減することで知られる。」

「GIを取り込んだ地域開発や防災・減災は、欧米で二十年ほど前から広がったとされ、欧州委員会は2013年に「GI戦略」を採択した。日本では一五年に閣議決定された国土形成計画や第四次社会資本整備重点計画にGIの概念が初登場する。」

「特定の目的や雇用の一時的創出に効果が高いグレーに比べ、グリーンは整備や維持管理が低コストで、平時にも便益がある。両者は優劣を競って、互いに取って代わるのではなく補完し合う関係にあり、日本にはなじみやすい考え方」としています。

まだ始まったばかりだが、国土交通省は地域の防災・減災にGIの視点を取り込むため、本年度、自治体に専門家を派遣する事業を始めた、とのこと。